追憶の雨の中

アラサー。創作をしています。不定期更新です

on and on

覚えたての、たどたどしい英会話が研究室で反響した。
研究予算が優先され手が回らないのか、あちこちが老朽化している。
ここで地震なんてめったに起きないだろうけど、この耐久性では真っ先に崩れ落ちるかもしれない。
異国というだけで、それでもきらびやかさを感じてしまう。

友人に誘われた講演に感動し、留学を決めた。
僕が興味を持っていた、とある場所についての考察だった。
学会の風潮から逸脱して独創的な論文を発表していた人だったから、名前にも聞き覚えがあった。

フィールドワークに同行したり、発掘現場に同行したりしながら、日々が過ぎていく。
研修生の立場でありながら、おかしいと思うところは主張するようにと言われていた。
研究の常で、新しいことなどすぐには出てこない。
だが、共通の目的意識がある仲間たちといるだけで、充実している。

一縷の望みの証明に、僕らは追う。
ガセかもしれないことでも、疑う前に調べる。
その日が徒労に終わっても、不思議と疲れはない。
蓄積こそが糧となる。
神は我々を試していらっしゃるのだ。
そういうふうなことを、教授も繰り返しおっしゃっている。

いつか新聞や教科書に載るような、偉業を成し遂げられるだろうか。
酒の席で思わず、つぶやいたことがある。
半分以上聞き取れなかったが、彼らの表情から失言だったと悟り、すぐに謝罪をした。

名誉のためではない。
未来のための投資だ。
神は必ず我らを見てくださっている、と言うのが、彼らの主張であった。
それを聞いてから、僕は彼らが十字を切るとき、見様見真似で実践している。
それをするなら洗礼を受けなさいとも言わず、温かく見守ってくれている。
礼拝も連れて行ってくれる。
初めてまともに聞いた讃美歌は清らかで美しかった。

僕は彼らの信仰の半分も知らない。
だが傍観ではなく、同じ位置に立つのでもなく、彼らの信仰を尊重したい。
わずかでもここにいる以上、僕はそうしなければならない気にさせられる。
彼らの機嫌を取る、というつもりはなく、自然とそう思わされた。

この街の陽射しせいもあるだろうか。
偽りを許さぬ強い日差しでありながら、陰湿さはない。
白か黒か、はいかいいえかをまず区別することの多い国らしい陽気である。
朝は寒い日すらあり、1日に四季を感じる。

彼らは繰り返し、今日もつぶやく。
蓄積を脈々と続けていくことに対して。
平易な単語で、僕もすぐ覚えられた。

on and on

Running Through The Dark

期日というものが憎らしい。
そもそもこれは、僕の仕事ではない。
先輩からのご指導、悪く言えばていよく押し付けられた残務だ。

残業禁止措置でいち早く強制シャットダウンのかかったパソコンに映っていたのは、悲愴な男の顔だった。
僕はこんなに老けていただろうか。
少し前までは5歳は若く見られていて、早く老けて見られたいと思っていた。
そんな過去が夢のようだ。

先輩よりも早く出社するため、朝5時に起きる。
二度寝防止で目覚ましを何度も鳴らすから、寝起きはいつも最悪だ。
ぼんやりしたまま知名度だけで選んだ電車に揺られる。

最寄り駅をターミナル駅にしたせいで、いつも電車は定員なんてものがまやかしに思えるほど混んでいる。
痴漢に間違えられないよう両手を上げ、鞄を股に挟み、毎朝必死になる。

残業代を出さない言い訳のようにつけられた、名ばかりの管理職が口惜しい。
俗に言う中間管理職。後輩の指導ではなめられ、上司や先輩はにらみをきかせ、毎日板挟みの連続。
一昨日も、後輩の会議レポート提出がないと大目玉を食らった。
期限を督促するメールを打ったが、謝罪の前に言い訳と愚痴をタバコ休憩のときに言われ、辟易した。

上の指示がいい加減だからと言われたが、その指示をいい加減にしたのは僕ではないし、事前に準備をしておかなかったのは、どう考えても自分が悪い。
そして、中学生でもあるまいし、いちいち内容のチェックまでこちらの目を通す必要性を感じられない。

褒めたら伸びる系なんすよね、と言うこいつを、一体どう褒めたらいいのか。
後輩指導にはいつも悩んでいる。
ご飯に連れて行こうとすると、業務外で拘束はマジ勘弁して下さい、と言われるし、会社の中ではまだまだ若手のつもりではいたが年齢差を感じる。

そういう状況を見ても指導がなってないらしい。
僕の育て方から正しくなかったのでは、と喉元まででかかるが、内に秘めておく。
かつて飲みニケーションなどと言われた時代はもはや古く、現代には通用しない。
新しい方法を考えなければ。

「頼むよ、いい知恵くれよ、お前と僕の仲だろ」

呼び出したのは、学年一どころか、学校始まって以来の優等生かつ、卒業後は社長をしている奴だ。
以前事業内容を聞いたが、複雑すぎて一般人には理解不能だった。
名前が近いというだけで親しくなり、こうして働き出してからも会っている。
じゃあお前も起業すれば、と流すのではなく、親身に相談に乗ってくれる。

「え、何だって?」

早口に言われた言葉を、聞き返す。

「Running Through The Dark」

moon

1年前の9月15日でした。
あいにくその日は曇っていて、僕は遠くへ出かける予定をやめて、近くのスーパーへ買い物に行きました。
いつも聞くテーマ曲らしいものを聞き流し、何気なく並んだレジに、君がいました。

目も鼻も口も耳も、全部僕の思い描く理想の場所にありました。
こんなことって、一生に一度もあるかわかりません。
だから、そう考えると僕は非常に幸運な人だと言えるでしょう。
そして、僕は君を好きになる運命だったのかもしれません。

運命は必然だと、聞いたことがあるような気がします。
そんな、僕が好きになった運命の相手。
十五夜に現れた、月のお姫様。
それが君でした。

お会計してもらうとき、君の苗字を知りました。
君の顔にぴったりで、僕が予想していた範囲に収まりました。
何度か通い、君のシフトを知りました。
君は夕方から夜にいることが多く、土日に出る代わりに月曜日が休みでした。

しばらくしてから、従業員同士の会話から、君の名前を知りました。
意外な感じのする名前でしたが、何度も自分の部屋で繰り返し君の名前を呼んでいると、違和感がなくなりました。
愛の力の勝利ですね。

仕事が終わる時間帯に合わせて、外をうろつき、君の私服を知りました。
僕好みの膝丈スカートで清楚な感じが出ていて、さらに好印象でした。
後を追いかけて、最寄り駅と家を知りました。
行き帰りが少し遠いので、雨の日は車でお迎えしてあげたいと思いました。

何度か、スーパーで買い物をしたお菓子を、君にプレゼントしました。
女の子は甘いものが好きでしょう。
実際、とても喜んでくれました。

僕はそのへんの男と違いますから、すぐ連絡先を聞こうとかそういう軽々しいことはしません。
君も僕を意識してくれているのか、僕がレジに並ぶと、他の従業員が出てきてレジを代わったり、僕の顔を見ると笑顔で会釈し、足早に去って行ったりしました。

今日は君に出会って1年目の記念日です。
十五夜だし、お姫様だし、お団子をプレゼントしました。
近頃帰り道は、新しく入った女の子と二人で帰っていて、家に帰らない日も多いみたいです。
ちょっと心配ですが、僕は親でも何でもないので、いらない心配ですよね。

家に帰って、月を眺めました。
天気が心配でしたが、今日はとても綺麗に見えています。
どこかで君も、見ていますよね。だって、月のお姫様ですから。

僕たちは見えない何かでちゃんと繋がってます。
付き合うとか、そういうくだらない次元よりも高尚な、特別な関係です。
君の笑顔がすぐ思い浮かびます。
今夜も最高の夢が見られそうです。

みつめていたい

女々しい兄と、昔からよく比較されてきた。
私はガサツで、大ざっぱで、男みたいな性格だと。
料理だって大味だし、取皿なしに茶碗の上に何でも乗っけるし、あぐらもかく。
豪快に笑うし、いつまでもうじうじと考え込まない。

そんな私が、考え込んでいる。
全ては、煮え切らない彼のせい。
もう、付き合って4年経つ。
私は彼の親を知っているが、彼は私の親を知らない。
会わないからだ。
付き合っていることすら言ってない。

幾度となく、勧めてはきた。
日程だって空けようと思えばいつでもできる。
彼の、繊細なところが好きだったが、煮え切らなさすぎた。

第一彼は、付き合うときから言葉にしなかった。
いつの間にか付き合っていた。
私ばっかりが好きで、追いかけて追いかけて、好きだと言っても、しばらく好きと返してくれなかった。

彼は、いつまで中途半端を続けるのだろう。
指輪も何も、与えられてない。
これからもずっと一緒にいたいとか、そういうのもない。

先について問うと、考えていると彼は言う。
何を、とは問えなかった。
あれは私の早合点で、彼にその気はないのだろうか。
じゃあなんで親に会わせるのか。
まだ早いのか。
いつなのか。
待っていられない。

私はただ、言葉が欲しい。
結婚しようとか、定番のプロポーズとか、そういうのが欲しい。
彼の方がいい年をした大人で、しかも一度は、そういうことをしたはずなのに、なぜ私には言わない。

私が子どもだからか。
年齢的にまだ幼いからなのか。
こんなにも、誰かを愛しいと思ったのも彼が初めてなのに。

気づけば、花を買っていた。
真っ赤なバラ。
自分がして欲しいことを、してくれないなら自分でしようと思った。
次に指輪。
もちろん指のサイズなんて、知らない。
深夜、隣でぐっすり眠る彼の手を取り、通販で買った指輪のサイズを測る器具をはめ込んだ。

店員の訝しげな視線を他所に、自分用と彼とのペアリングを求めた。
自分で、彼との相談もなしに買う結婚指輪。
ちゃんと、給料3ヶ月分の価格。
単なるロマンという名の自己満足のために、現金一括払いをしてきた。

私の愛した男が普通でないのだから、仕方ない。
手のひらで輝く、店員にはめられた小粒の光が誇らしげに輝いていた。
不思議と、悲しさはなかった。
なんて私はたくましく育ってしまったんだろう。

あとは、プロポーズの場所である。
夜景の見える少し高めのコース料理が出る店に、予約を入れた。
ベタだが、他に思いつく案もない。
彼の誕生日に合わせて設定した。
ケーキと花束を出すタイミングも、店員に話してある。

「一生幸せにする。愛してる。結婚して下さい」

手際よく取り出した指輪を見つめる瞳を、揺れるろうそくの光が照らす。
彼が、消え入りそうな声ではい、と返事をしたあと、座席から立ち上がり、彼を抱きしめた。

彼の涙を見ながら、やっぱり私は間違っていなかったのだと、確信する。
兄のように女々しくて、頼りなくて、ついつい世話を焼いてしまう。
まさかこんなことまで世話を焼くことになるとは思わなかったが。

「転勤の前に、伝えたかった」

「ありがとう」

「明々後日、休みでしょ。親の予定空けてるから、家に行こう」

「うん、待たせてごめんね」

「いいよ。そういうところも好き」

まだ涙に濡れている彼の瞳。
いつまでも見ていたい。
これからも、ずっと。

みつめていたい。

少年

前何も考えんでも食えてたもんが、食えへんくなった。
部活で言うたら、俺もオレもって話になって、みんな同じなんやってなった。

豆とか、よー分からんもん炊いたんとか出されたら腹立って、食わへん。
やりたいことはやる気出るけど、それも、やろと思てるときに言われるとへこむし、やりたなくなる。

俺こんなんやったっけ。
弁当食い終わっても腹減るし、楽しいことしてるときはめっちゃ楽しいけど、楽しない時間が増えた気する。

大人ってリフジンやと思うことも増えた。
あいつら自分の都合ばっかり押し付けてきよる。
ほんま、きしょいしだるい。
自由になりたい。
俺、色んなことに縛られまくってる。

仲ええ友だちだけの世界とか、楽しすぎやろ、とかも思う。
もっと大人になって、もしえらなったら、そんな風に変えてみたい。
そしたら、俺みたいに嫌な思いする奴おれへんくなるやろ。
俺こんなこと考えてるん、すごない。
ま、誰にも言うたことないけど。

あと、もう子どもちゃうねんし、自分でやれることもある。
忘れもんないかとかいちいち口出ししてくんのもイライラする。
学校も、だるい授業出るくらいやったら、全部部活とかゲームする時間になったらええのに。
しょうみ、勉強とか何の訳に立つねん。

別に不良とはちゃう。
親の言うこと、せんせの言うことよう聞くいい子ちゃんもちゃう。
ふつーの、いや、ふつーよりは、ちょっとおもろい奴や。
将来の夢も、かっちり決めてへん。
正義のヒーローみたいに暑苦しい奴はかなわん。
でも、なんかこう、すごいなって言われる奴にはなりたい。
ほんなら勉強とか努力とか、そういう大人が好きそうなことせなあかんらしい。
俺かて、やればできるんや。きっと。

今日も朝から、隣のクラスでトイレットペーパー廊下に撒き散らした奴のせいで、俺らは怒られた。
俺は毎日、誰かに怒られてる。
みんな、陰口たたかれたり、たたいたりする。
女みたいできしょいけど、俺が言わんかったら、いじめられるし。
流されてる自分嫌やけど、変えたいなって思うけど、どうすればええんかわからん。
きっとほんまの自分はどこかで隠れとって、いつか、顔出してくれるんやってそう思てる。

家出して、一人で生きていくって、決めてみたらどうやろ。
そないしたら俺も、大人になれるんやろか。
できるんかな。
部活とか、家とか、学校とか、そういうのん何も知らん人たちにもまれて、生きていく。
周りからしたら俺らはみんなひとくくり。

少年。

言い出せなくて…

「練習したんで」

最近切ったという、前までよりもかなり短く切りそろえられた髪が、風で少し揺れた。
前髪を真っ直ぐに眉毛より上で切るのが、流行っているらしい。
そう言われれば確かに、テレビでも電車でも、そういう子をよく見る気がする。

クーラーをきかせ過ぎたのか、肌寒い。
彼女の声のトーンがまだ低く、心の琴線に触れたのかと、怖くなる。
口元は僅かに微笑んだようにも見えたが、緊張しているのか、楽しくないのか、にこやかではない。

少し薄暗くて、禁煙と聞いたのにタバコの匂いがきつくて、僕らの距離感を無理やり詰めるため神様がいたずらしたのか、部屋は狭かった。
彼女の年齢的に、僕が普段ほっつき歩く場所よりはこういうところの方がいいだろうと思ったのだが、気まずい。

「歌うと、声高くなるんですね」

うまいんですね、と世辞を言わないところが彼女らしいが、これだけ好意を持たれていながら言われないとなると、僕の歌声は相当悪いらしい。

彼女のことは、あまり良く知らない。
僕がよく話していたのは、彼女の友だちだった。
暗くて、表情が読めなくて、僕のことが好きなんだろうということ以外、何も知らない。

少し昔、根っからの文系だろう彼女が、赤点防止のためと称しては、僕のところに何度も押しかけてきた。
何度も経験してきたことだし、正直彼女に全く興味を持てなかった。
それと同じくらい、何度も何度も聞きに来る割に、彼女の成績はちっとも良くならなかった。

恋のキューピット気取りで、彼女の友だちが場を取りなし、今日に至る。
質問攻めの過程を経て、彼女は恐ろしいほど僕を知り尽くしていた。
僕の好きな歌手しか歌わない。
褒め言葉も使い果たし、反応も冷たく、正直もう出たい。

「今度は、3人でこよっか」

なるべく、にこやかに微笑み、彼女も頷いてくれた。
彼女は楽しいんだろうか。
きっと僕といたら楽しいのだろう。
伝え聞きで教わった。

こんなにも好かれているのに、僕はちっとも彼女を好きになれない。
そして彼女もそれを分かっている。

僕らはこれからも、こうして会い続けるんだろうか。
彼女が、僕以外の別の誰かに夢中になるまで。
好きでいてくれるのだから、好きになればいいのに。
どうして僕は、好きになれないんだろう。

帰り道、LINEに届くメッセージ。

「どうだった?」

おせっかいな君。
彼女の友だちで、僕とも友だちで、何度も君とも出かけた。

僕は君が好きなんだ。
言い出せなくて…

家族になろうよ

誰に何を言われても、変えられなかった。
10以上も下の恋人。
私は30、相手は大学生だった。
周りの視線は痛くて、遊ばれているだけと何度も繰り返し諭された。

最初は相手にしてなかった。
お酒をたくさん飲むし、私の知らない遊びを楽しんでいたし、共通の友人が誘った飲み会にいたときも、ほとんど話さなかった。

向こうから連絡が来たときは驚いたという言葉で言い表せないくらいで、怪しげなビジネスの勧誘を疑った。
恋愛での失敗も駆け引きも、この歳になると一通りし尽くしていて、だから彼から見た私はどこかしたたかだったかもしれない。

そんなしたたかさが、彼には新鮮だったんだろうか。
いや、彼は年齢の割に遊んでいただろうから、そんな小手先の技術、意味がなかったのかもしれない。
定番の喜ばれそうなところを抑えて喜んでいたから、おそらく単純なんだろうけど。

もちろん喧嘩はたくさんした。
ちょっとのどが渇いたと入ったのがファストフード店で呆れ、帰ると踵を返した日もあった。
帰る意味が分からないと怒られ、世代差なのか環境の差なのかを感じた。

親に紹介する日も服装から手土産まで指定し、随分と揉めた。
逆に紹介されたときは急なタイミングで、手土産を用意する暇すらなく、恥をかかされ彼を怒鳴った。

ドライブ中に俺んちこの辺なんだよね、と寄られたら、世の女性の誰もが怒り狂うと思う。
おまけに運悪く食事時で、気を遣われてしまった。
お詫びに伺ったときは息子の失態を逆に謝罪され、申し訳ない気持ちになった。

思い出すとまた腹が立ってきた。
そんな大喧嘩してまでなぜ別れなかったのかと聞かれると、透けて見える30歳という年齢の壁のような気もするし、半ば意地のようなものもあった気がする。
何より、私の親が彼を見て戸惑いながらも、きちんと就職先があることを知ると喜んで承諾してくれたことが背中を押してくれた。

付き合って月日が経つごとに、いつの間にか私が彼に夢中になっていた。
墓前で祖父母に報告をしたときには、滅多に見せない真剣な顔で、手を合わせてくれた。

「こういう昔ながらのはかっちりしなきゃだめでしょ」

と言った彼が、スーツにスニーカーで現れ、苦笑しながらも愛しいと思った。
彼の底抜けの明るさに、何度も救われた。

いつか生まれた子どもが大人になっても、私たちは手を繋いで街を歩ける気がする。
その頃私はおばあちゃんで彼はおじさんで、そのうち杖をついていても、目が悪くなっても、やがて歩けなくなっても、笑っていられる。

使い古されていて、ありきたりな言葉だけど、私はとても幸せ。
これからもずっと、彼がいるだけで。

今も言われた一字一句残らず、きっちり再生できる。
色鮮やかなプロポーズの言葉。
まず最初はこう。

家族になろうよ


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奥様ご懐妊報告記念。
おめでとうございます。