朝焼けに檸檬

アラサー。創作をしています。不定期更新です

明日のSHOW

緩やかな脱力ののち、吐息が溢れる。 力を抜く心地良さは、味わった者にしか分からない。 噴き出る汗を持参した柔らかなタオルで拭き取り、お茶で喉を潤す。 仕事帰りの疲れた身体に鞭打ち、ジム通いを始めている。 同年代くらいがいれば、若い大学生くらい…

squall

たとえば、誰か大切な人が死んで、僕は泣き崩れる。 周りは僕に同情し、慰める。 死を悼み、思い出しては泣く。 数年もすれば、時折思い出す程度になり、年月がたてば、誰か他の大切な人を見つけるかもしれない。 たとえば、誰か大切な人が死んで、僕は憔悴…

DRIVE-IN THEATERでくちづけを

君を迎えに行くよ。 そんな台詞が僕の頭の中で、不意に鳴る。 僕はいつだってこの世界から飛び出す準備をしていて、実際に出られるのを待っている。 世の中では圧倒的多数で男が女を迎えに行き、おしゃれなお店に連れて行く。 甘い酒に付き合い、後でラーメ…

とりビー!

真横に置かれた、グラスに映る顔。肉を頬張るそれを見て、年齢を意識した。 ほんの少し前までは、若く見られていて、老けて見えるよう、貫禄を出せるようこころがけていた。 よく冷えたビールをうまい、と無理やり飲んでいたし、うっすら生えるひげを伸ばし…

squall

訳のわからない歌詞が流れていると落ち着くのは、僕だけだろうか。 意味が分かると、そちらに意識をむけてしまう。 分からないと、気にしなくていいからいい。 誰も僕のことなど気にかけない。 広くも、狭くもない。 誰もが目の前の自分のテリトリーに夢中だ…

何をするにも疲れて、初めて僕は、疲れていると知った。 空腹に耐えかねて、買ってきたオムライスを温めている間、テレビを久々に見る。 不正や汚職など、暗いニュースが目につく。 もし僕がスポーツ好きで、余裕も才能もあったなら、スポーツを続けていただ…

HEY!

電車に揺られ、夕焼けを眺めていた。 子供連れや、早めの会社帰り、帰宅する、もしくはこれから向かう人たちで、程よく車内は混み合っていた。 席を譲るほどの気概もない僕は、目の前に立つおばさんに目もくれず、携帯を触っている。 腕には、花束を入れた紙…

今夜、君を抱いて。

振り返らずに進む、君の後ろ姿。 月日を感じさせるようで、感じさせない。 好きは、重なりあったときだけ。 僕からは絶対に言わない。言ってやらない。 僕は君を欲しがらない。 君も僕を欲しがらなくなった。 人肌のせい。 ぬくもりのせい。 後ろからぎゅっ…

クスノキ

歯ごたえのない、柔らかなそれは、僕の喉を滑るように通り過ぎた。 記念だからと、大皿に上品に盛り付けられた料理が出てくる。 カタカナで綴られた物珍しいものたち。 美味しいものに歯ごたえはない。 美味しいものに素材の味はあまりない。 美味しいものへ…

流れ星

テレビをつけた。 特に意味はない。 いや、理由ならあった。 当たり前が当たり前ではなくなったから。 物が消え、少しずつ気配も消えていったから。 いた頃、しょっちゅう話していたわけでもない。 それでも、存在の大きさを実感せざるを得ない。 それくらい…

巻き戻した夏

楽しかったねと振り返ることができたなら、あの夏は終わらなかっただろうか。 いつものように、ごめんねで仲直りできなかった。 ずれだした後はあっけなく過ぎ、 「いらないの、捨てといて」 自分でも驚くくらい事務的な声が出た。 期間は、短くなかった。 …

All my loveing.

「だから、違うってば」 「これでいいの。」 特有の、かくばっても丸まってもない、中途半端な形。 一目見て、他の誰でもないと特定できるくらいだ。 そんな使い方はしない、と言っているのに、言うことなど聞きやしない。 誰に似たんだか、親の顔が見たい。…

私は風になる

好きなものを好きと伝えられないで、嫌いなものを好きと言ううちに、嫌いなものを好きになる。 君の中の私は、甘いものが大好きで、そのなかでもふわふわとしたドーナツが好き。 肉が好きで、こってりとした味付けが好き。 優柔不断で、店に入るとほとんど任…

化身

誰でもいいわけじゃないのに、誰でもいいような、そんな言い方をしてみる。 相手は怒る。 もしくは、同意し、お互いを偽ったまま、関係が進む。 夏場の、しばらく放置されたアイスコーヒーのような、生ぬるさ。 あるいは、風呂から上がって、少しのぼせ、ぼ…

無敵のキミ

始めは、大概統率がとれていない。 指揮が機能していないと、混乱を呼ぶ。 指揮は、偉そうであってはいけないが、頼りなくても困る。 綿密な打ち合わせ、緊急時の対処法、何かひとつでも欠ければ、今後に関わる。 何も、始めだけが肝心なわけではない。 折に…

流れ星

ここは大事だからと言われた、マーカーの箇所をまとめ直す。 たくさん引きすぎて、よくわからないけれど、大事なんだろう。 先生が声を大きくしたところも、大事だという印をつけている。これも書かないと。 こんなにきちんと聞いてるのに、僕のテストはいつ…

誕生日には真白な百合を

眠い目をこすり、送信ボタンをぽちり。 君への誕生日メール。 12時ぴったりに、送るなんて風習、誰が始めたのか。 面倒だけれど、君が待ってくれているなら、仕方ない。 義務のようになっている、3年目のメール。 どちらかがやめれば、終わるはずなのに、続…

旅人

買ったばかりのイヤホンが、お気に入りの音楽を流す。 アップテンポで、鳴るだけで僕のテンションはちょっと上がる。 うっかり、リズムを刻んでしまいそうになる。 こんな、都会の町中で。 リュックサックには、最低限の着替えと荷物。 重たくなるのは苦手だ…

ただ僕が変わった

本日はグリーンティーホットケーキのご紹介です。 まず、グリーンティーの分量は大さじ5杯。 生姜を1.5センチ加えまして、卵1個に水150ミリリットル。 ホットケーキミックスは200グラムご用意ください。 だまにならないよう、ボウルでかき混ぜます。 油を引…

恋人

吐く息が、白くなった。 鼻も手もかじかみ、僕は本日何軒目かのコンビニへと足を進めた。 青と白のトレードマーク。 お団子頭の女の子。 吊るされたポップには、茶色と白の紙コップが描かれ、ぽつんと家がたたずんでいる。 定刻を知らせるアナウンスが、時の…

milk tea

ご飯を炊く。3合、まとめて。 僕の家の炊飯器の限界。 「のの連続」とご丁寧にご指摘されたが、そのまま無視して入力する。 布団を干す。 よく晴れた日で、髪を切ったり、手首を切ったりはしないが、気持ちのいい空だ。 やかんがつかの間騒々しく鳴り響き、…

もっとそばにきて

朝目覚めたとき、朝日が遮光カーテンを潜り抜け、僕に眩しさを届ける。 ティファールモドキに水を注ぎ、寝ぼけ眼のまま歯を磨く。 洗面所兼用の風呂場に入り、手ぐしで適当に寝癖を直し、顔を洗う。 隣で寝ていた彼女は、起きてるときと正反対の大胆さで開脚…

あの夏も海も空も

そらはたいてい空を指し、大空も蒼空も翔も颯も天も大翔も、穹も、そらだ。 僕は空がなぜそんな字になったのか、他のそらと読む字にある共通点はあるのか、考えたことがある。 実はあのそらたちは、全て、虚に集約されているのではないか。 そらと呼ばれる、…

IT’S ONLY LOVE.

世の中にないものは、すぐに思い付かない。 世の中といっても広すぎるし、僕の狭すぎる世の中と比べては、申し訳なさ過ぎるからだ。 だから、分からない、というのが答え。 身の回りにないものなら、よく知っている。 たとえば、マヨネーズ。それに、ソース…

幸福論

少しずつ少しずつ、小さな口で物が食まれていく。 懸命に顎を動かし、時々噛むのを諦め咀嚼し、これまた小さな手が伸び、つぎのものを取る。 勢いはない。また、ふと視線を反らせば途端にその気配が消えるほど、静かだ。 食べる、とは違う。 話は散歩するが…

その笑顔が見たい

10月が始まった。 たとえば、かのローマ字表記をkにすべきか、cにすべきか、というくらい、すがすがしく、無責任な始まりだった。 かといって、たかが月日ごときが、人生の重大イベントほど、重々しくてもかなわない。 僕は、また書き物を始めることにした。…