追憶の雨の中

アラサー。創作をしています。不定期更新です

誕生日には真白な百合を

眠い目をこすり、送信ボタンをぽちり。
君への誕生日メール。
12時ぴったりに、送るなんて風習、誰が始めたのか。
面倒だけれど、君が待ってくれているなら、仕方ない。
義務のようになっている、3年目のメール。
どちらかがやめれば、終わるはずなのに、続いている。
この一年もいい年にしよう。
二人の思い出を作っていこう。
浮かんだ言葉が定番すぎて笑いが込み上げ、でも、不思議と悪くない。
二人で歩んできて、確かなこと。
すぐ仲直りできること。
好みがあうこと。
くだらないことで笑えること。
やっぱ、いてくれてよかったな。
ありがとう。
「なにそれ、急にありがとうって。別に永遠の別れじゃないんだから、てれくさいよ」
君は、そういうだろうか。
顔を真っ赤にしながら、本当に照れくさそうに。
かわいいね。
かわいいって、なんて便利な言葉だろう。
こんなにも簡単に、好意が伝えられる。
愛じゃなくて、恋でもなくて、確かに付き合ってはいるんだけど、そんなしょっちゅう、愛だの恋だの、浮わついたことは言えなくて。
だから、かわいいね。
素直に言えばいいのだけど、言えばまた、照れくさそうに君はこう返す。
「ありがとう」
言葉だけでは足りないとき、物を加える。
君の好きな花。
特別な日は真紅のバラを。
記念日は深紫のパンジーを。
誕生日には真白な百合を