追憶の雨の中

アラサー。創作をしています。不定期更新です

無敵のキミ

始めは、大概統率がとれていない。
指揮が機能していないと、混乱を呼ぶ。
指揮は、偉そうであってはいけないが、頼りなくても困る。
綿密な打ち合わせ、緊急時の対処法、何かひとつでも欠ければ、今後に関わる。
何も、始めだけが肝心なわけではない。
折に触れ、定期的な確認が必要だ。
できたて、という響きは心地よい。なにせ、新しいのだ。
まだ使い込まれていない、猫を被っている、ぎこちない器。
袖を通して間もない制服。
研修中というバッジ。
緊張した面持ちで挨拶する新人。
独特の臭いがする、新車。
そのときにしか、感じられない特別な感覚。
僕はそれを大切にする。
時間以内に、と思うと、肝心なことを忘れてしまう。
謝罪や反省の機会も増えてしまう。
もちろん、謝罪や反省は悪いことではないし、失敗はするべきである。
学ぶことも多い。
その都度振り返りながら、前に進みながら、そして、迷えばいい。
おめでとう、新しいキミ。
さようなら、今までのキミ。
一緒に残って働いたことも、
上司に怒られたことも、
企画が軌道に乗って喜んだときも、
引き抜きの話が出たんだって打ち明けられて、相談されたときも、
僕はいつも最前線で、キミの理解者でいた。
統率がとれてなくても大丈夫。
雨でも風でも、大丈夫。
どこでもやっていけるさ。
応援する僕の、最後の大仕事。
大作の映画が、終わりを迎えるくらいの大団円を、プレゼントしよう。
エンドロールの一番最後は、もう決まってる。
無敵のキミ