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追憶の雨の中

アラサー。創作をしています。不定期更新です

All my loveing.

「だから、違うってば」
「これでいいの。」
特有の、かくばっても丸まってもない、中途半端な形。
一目見て、他の誰でもないと特定できるくらいだ。
そんな使い方はしない、と言っているのに、言うことなど聞きやしない。
誰に似たんだか、親の顔が見たい。僕だけど。
そういう使い方があることは、僕はもちろん知っている。
しかし、それを試験で書いてはいけないことも知っている。
まだ、教わらない。彼女の習っている英語では。
いや、おそらく、将来的に英語を仕事に使わない限り、もしくは、使っていても知らない人もいるだろう。
シールを組み合わせ複雑に貼り合わせたノートの、中央に書かれた文字。
文字もピンクやら、オレンジやら、入り交じっている。
パール入りやら、熱で膨らむのやら、彼女の筆箱には、色とりどりのペンが入っているから、もはや何色なのか、僕には瞬時にわからない。
それにしても、勉強を教わる以外の用事で父親を捕まえに来る彼女は、ちまたで言う反抗期には当てはめられないだろう。
成績は普通。
特徴もない。
先生からの評価も悪くないらしい。
目立たないんだろう。
友達はいるらしい。
好きなアイドルの話も、時々してくれる。
上手く育てた自信はまるでないけれど、
「夜遅くまで帰ってこない」
「携帯代が高い」
「化粧して派手になって」
なんていう、周りの親の愚痴を聞いていると、平凡な彼女を誇りに思う。
「なに笑ってんの、パパ気持ち悪い」
友達はパパなんて言わないから、そんな呼び方やめる、なんていってたのも、三日坊主に。
気持ち悪いなんていいながらも、洗濯物は一緒でも気にしない。
胸が膨らみかけるまでは、一緒にお風呂も入っていた。
「いや。かわいいなと思ってさ」
「何それ、ウケる」
彼女の書いた文字、僕にも当てはまるかもしれない。
すべての私の愛。それが、彼女。
愛は、とめどなく、継続的。
進行形なんて使わなくても、分かってる。
文法的には正しくない。
それでも、愛は溢れ続けているから、
All my loveing.