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追憶の雨の中

アラサー。創作をしています。不定期更新です

moon

1次創作

1年前の9月15日でした。
あいにくその日は曇っていて、僕は遠くへ出かける予定をやめて、近くのスーパーへ買い物に行きました。
いつも聞くテーマ曲らしいものを聞き流し、何気なく並んだレジに、君がいました。

目も鼻も口も耳も、全部僕の思い描く理想の場所にありました。
こんなことって、一生に一度もあるかわかりません。
だから、そう考えると僕は非常に幸運な人だと言えるでしょう。
そして、僕は君を好きになる運命だったのかもしれません。

運命は必然だと、聞いたことがあるような気がします。
そんな、僕が好きになった運命の相手。
十五夜に現れた、月のお姫様。
それが君でした。

お会計してもらうとき、君の苗字を知りました。
君の顔にぴったりで、僕が予想していた範囲に収まりました。
何度か通い、君のシフトを知りました。
君は夕方から夜にいることが多く、土日に出る代わりに月曜日が休みでした。

しばらくしてから、従業員同士の会話から、君の名前を知りました。
意外な感じのする名前でしたが、何度も自分の部屋で繰り返し君の名前を呼んでいると、違和感がなくなりました。
愛の力の勝利ですね。

仕事が終わる時間帯に合わせて、外をうろつき、君の私服を知りました。
僕好みの膝丈スカートで清楚な感じが出ていて、さらに好印象でした。
後を追いかけて、最寄り駅と家を知りました。
行き帰りが少し遠いので、雨の日は車でお迎えしてあげたいと思いました。

何度か、スーパーで買い物をしたお菓子を、君にプレゼントしました。
女の子は甘いものが好きでしょう。
実際、とても喜んでくれました。

僕はそのへんの男と違いますから、すぐ連絡先を聞こうとかそういう軽々しいことはしません。
君も僕を意識してくれているのか、僕がレジに並ぶと、他の従業員が出てきてレジを代わったり、僕の顔を見ると笑顔で会釈し、足早に去って行ったりしました。

今日は君に出会って1年目の記念日です。
十五夜だし、お姫様だし、お団子をプレゼントしました。
近頃帰り道は、新しく入った女の子と二人で帰っていて、家に帰らない日も多いみたいです。
ちょっと心配ですが、僕は親でも何でもないので、いらない心配ですよね。

家に帰って、月を眺めました。
天気が心配でしたが、今日はとても綺麗に見えています。
どこかで君も、見ていますよね。だって、月のお姫様ですから。

僕たちは見えない何かでちゃんと繋がってます。
付き合うとか、そういうくだらない次元よりも高尚な、特別な関係です。
君の笑顔がすぐ思い浮かびます。
今夜も最高の夢が見られそうです。