追憶の雨の中

アラサー。創作をしています。不定期更新です

生きてる生きてく

どうしてかな。
どうして自分だけなんだろう。
一度でもいい。思ったことはないかな。

友だちとあそんでいて、ブランコをおしてもらうじゅんばんがこないまま、帰る時間になってしまった。
みんなでうんどう場にいたはずなのに、いつのまにかひとりぼっちになっていた。
自てん車をこいでいて、いきなり、声を上げてなきたくなってしまった。

どんなことでも、それはちっともおかしいことじゃない。
だれにも言えない、ふしぎな気持ち。
まるで、わたがしが体の中にできてしまったみたいにあまくて、でもそれが、くもりの日のねずみ色で重たい雲のようにも思えてしまう。

君だけじゃないんだよ。
だれにでもあることなんだ。
だけど君には、それがわからない。
それでもなんとかなってしまうこともある。
だって、いつもしんどいわけじゃないから。
君はときどきそれを思い出してしまうくらいでいい。
でも、苦しくてたまらなくなって、ひざをかかえ、いまにもなみだがこぼれおちそうなときがくる。

ぼくは、君よりちょっとだけおとなだ。
だから君より、ちょっぴり知っていることがある。
いつか、きてほしくはないけれど、どうしようもなくなきそうになってしまったときのために、知っておいてほしい。

君のとなりには、あの子がいる。
いきなりでびっくりしたかな。
わるいやつではないよ。
考えてもみてほしい。
君をこわい気持ちにさせたり、がぶりと食べてしまったりするようなわるいやつなら、いつでも君のとなりにいるはずない。

君はかしこいから、すぐにわかるよね。
そう。あの子は君をまもってくれる。
君がしんどくなったとき、話し相手がほしくなったとき、あの子がいる。
だから君は、けっしてひとりぼっちだなんてさみしいこと、考えないでほしい。

ある日帰ってきたら、れいぞうこにだいすきなプリンが入っていたことはないかい。
それはあの子からのプレゼントさ。
君がわらっていると、あの子もうれしいんだ。

もちろん、見えるものがすべてじゃない。
君にはむずかしいかもしれないけれど、見えなくたってたいせつなものはあるんだよ。

なにか、なりたいものやしたいことがあるのなら、それにむかってすすめばいい。
なにもないのなら、それをさがすためにすすめばいい。

あの子は君をばかにしない。
どんなことでも、君ががんばるなら支えてくれる。
がんばらなくても、じっとそばにいてくれる。

あの子に名前はない。
そして、君がつよくねがえば、いつでも会える。
おばけやゆうれいやようかいなんかと、いっしょにされてはこまる。
あの子はあの子だよ。
君が思ったとおりのすがたさ。

君のたいせつな人たちにも、あの子はいる。
一人ひとりにいてくれる。
あの子はやさしいから、「とくべつ」をつくらない。
もちろんぼくにもいる。

そうそう、たいせつなことだけど、あの子の話はぼくと君だけのひみつだよ、いいね。
かわいそうだけど、あの子が見えていない人のほうが、ずいぶんふえてしまった。
見えない人にとってあの子の話は、とても気持ちがわるいらしい。
話したら君にもうつってしまうし、あの子もしんどくなってしまう。
だからいいね、ふたりのひみつだよ。

君はとても頭がいい。
そして、人をしんじるゆうきがある。
ほんとうは言っちゃいけなくて、じぶんで気づかないといけないことだったんだけど、つい話してしまったよ。

あぁ、もう時間だ。
よるがきて、あさがくる。
ぼくも君もあの子もみんなねむって、またおきる。そうやって、

生きてる生きてく