創作再開しました。不定期更新です

今 このひとときが 遠い夢のように

僕のおもちゃ。
賢くないけど従順で、束縛は嫌がるけど束縛したがる。
座りすぎてスプリングのきかないソファに遠慮がちに転がっている。
初心を気取って俯いた顔から表情は読み取れないが、どうせ大したことを考えてはいまい。

雛のような甲高い声は偽りで、僕の興味をひきそうなことを足らない頭で考えている。
共感ばかりする面白みのない女。
どこで覚えたのかすごいとさすがと優しいねの連続で飽き飽きしてくる。
世間知らずで語彙も知識も経験もない。
愛嬌がいいのだけが救いで、そうでもなけりゃすぐにおさらばするだろう。

脳みそには甘いミルクティーかカルーアミルクかが詰まっているらしく、喋るとちゃぷちゃぷ下品な音が漏れ聞こえるようだ。
知性のかけらもない代わりになけなしの成長成分は胸にいったらしい。
犬かねこ。すぐ泣くところを含めると犬のほうが近いかもしれない。

思い始めると幻影でしっぽが見える。
僕が近寄ればあからさまに表情を変えしっぽを振る。
庇護欲を醸しだすことで生き抜いていく哀れな人生。
若くなくなれば、あとは勘違いを繰り返したまま悲惨な末路を辿ることだろう。

飼い殺して、飽きれば見捨ててやればいい。
最後まで面倒を見る気はない。
捨てられそうな気配を察知するのは長けているのか、敏感に僕の表情を伺っては、お愛想を言ってくる。
僕への興味ではなく、僕のステータスへの興味のためだけに、献身を繰り返す。
内面への興味だとお前は誤魔化しているけれど、取り繕ったような、貼り付けたような笑顔では全く繕いきれていない。

僕にふさわしいのは、教養のある上品で美しく慎ましやかな大和撫子
僕ほどの経済力と知性があれば、決して高望みなどではないし、生涯のベストパートナーとなるのだから、熟慮に熟慮を重ねなければならない。

「ずっと一緒にいようね」

睦言は枕元だけ。
今このひとときが遠い夢のように。