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追憶の雨の中

アラサー。創作をしています。不定期更新です

愛は風のように

1次創作

今日という日が訪れたことを、祝福のようにも、呪詛のようにも思います。

あなたが生まれた今日、あなたに似た人に会いました。
寸分も違わずあなたでした。
もちろんそんなはずはありません。
あなたがどんな顔をしていたかも、おぼろげに違いありません。

しかし、それはあなたでしかあり得ないほど、あなたでした。
心のどこかでそれを望んでいたのかもしれません。
そんなことを言うと、あなたに期待を持たせてしまうでしょうか。
あと5秒、もし目があっていたら、僕はところ構わず泣いていたかもしれません。

あなたに会いたいのでしょうか。
そんなはずはありません。
何より僕が望んでいないのです。

いつだったか、あなたと連絡を取りました。
僕は気の合う友達として接しようとしていました。
あなたは、あわよくばまた恋人になることを望んでいたような気がします。
温度差と違和感に、連絡をしなければよかったと後悔をしました。
それが、決定的瞬間でした。
二度と連絡ができないようにしました。

忘れたはずでした。
少なくとも数日前まで片時も思い出すことはなかったのです。
おかしな表現でしょう。
それぐらい固い意志でした。

毎年この日が来ると思いだしてしまうのです。
忘れられないのが恐ろしいのです。
そして同時に、嬉しくも思うのです。
ただの一度でも、こうして忘れられぬ人を愛してしまったことがあることを。

二度はないのかもしれません。
あるのかもしれません。
僕にはわかりません。
あなたともう一度、手を繋げる日がないことはわかっています。
僕が望んでいないのです。
繰り返し言うくらいだから、確かです。

こんな気持ちなのに、こうして思い出してしまったこと、それを伝える手段すらないことを、許して下さい。

きっとあなたなら、寛容に許してくれるでしょう。
あなたのその優しさを愛していました。
そして、憎んでいました。

さようなら。
来年、また過去のあなたに会いましょう。
そして、未来のあなたに捧げます。
過去と未来の僕を。

きつく、荒々しく、そして穏やかに。
僕とあなたの間に吹きすさびます。
愛は風のように。