寝つきの悪い夜見た月は、満月でもないのに丸く見えた。 月が好きだ。 「月が追いかけてくる」 小学生、もしかしたら中学生くらいまで幻想を抱いていた。 20年以上過ごした故郷は、昔と比べすっかり明るくなって、でもそれでも東京の空と比べれば格段に星が…
静謐の中に異物が混入する。整えた自我がかき乱されるように。 まだ朝日の昇らない時間帯に聞こえるバイク音。規則的な寝息。鼻腔をくすぐるのは蜂蜜のように甘い香り。 打刻音が平静を彩りつつ、日常へと回帰させる。他に何の音もしない静かな時間。僕の僕…
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