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追憶の雨の中

アラサー。創作をしています。不定期更新です

『二銭銅貨』考

江戸川乱歩二銭銅貨』感想。
ネタバレ含む。








まず、当時の暮らしや情景を想像させる描写がいい。泥棒が紳士だという設定、また紙を隠すなら紙、といった口上も腑に落ちやすい。人を不快にさせない泥棒が出てくる話は当時大衆小説と親しまれたことにも頷ける。
大人から子供まで楽しめると思う。

ところで肝心の話。
実は、謎が解けていない。

二銭銅貨を貰った人が紳士盗賊と仮定したら、「私」はなんであんなことをしたのだ?
単なる暇つぶしにしては手が込みすぎているし、貧乏暮らしなのに10円の出費をさせてまでする意味がわからない。

紳士盗賊と「私」はグルだったのか?
親戚の大黒屋とやらに、一時期松村が解決したとおりの手順で本当に置かれてあって、松村が持ってくる前に回収されていたのか?
大黒屋に紳士盗賊がいるのか?
いや、もしや「私」が紳士盗賊で日頃はボロ住まいで暮らしているのか?
そうではなくて、「私」はいち早く見破り、紳士盗賊から施しを得たのか?

わからない。しかし面白い。
謎を謎のままにしておきたい気持ちもあるし、解き明かしたい気持ちもある。

とても良い作品だった。