創作再開しました。不定期更新です

あおとクリスマス

クリスマスの思い出は、家族でケンタッキーとケーキ。振り返れば典型的で幸せな家族生活を送っていたのだと思う。

 

残念ながら僕はケンタッキーが好きではなくて、いつまでも口に残るパサパサしたお肉はいらないから皮だけ食べてごちそうさまします、あとはケーキで。という感じだった。

 

何故か僕以外は好んで食べるコールスローも大嫌いで、大抵家族の誰かに押し付け、パサパサしたお肉をコーラで流し込むように食べ、口直しのケーキでどうにか不機嫌を直していた。

 

も一つ付け加えると当然のように出てくるシャンメリーも、少し大人になってシャンパンになったときも、味が全く好きになれず、楽しみでないことが多かったのは確かだ。

 

ただ、バーレルのセットについてくる白髭おじさんの描かれた青い皿と、付属のケーキは好きだったので、なんだかんだでワクワクはしていたと思う。過干渉気味だったが子どもに甘い両親だったのでプレゼントも毎回子どもの望むものを与えてくれた。

 

当時は嫌なことの多かったクリスマスを家族で過ごさなくなって、あれはあれでよかったと振り返れるようになった。

クリスマスをなんとなく楽しい日として認識できているのは、悔しいけれど両親のおかげなんだろう。

 

僕はこれから先、誰かに楽しいクリスマスのひとときを提供できるだろうか。楽しかったと記憶してもらえるだろうか。それともクリスマスなんて行事はマヤカシで仏教徒の僕らには関係ないんだよ、と無視して生きようか。

所詮クリスマスは年末の忙しい一部で、毎年のように活況で、僕の気分など一切考えず過ぎ去っていく。

 

なんで僕らはクリスマスに、誰かと一緒に過ごそうとするのだろう。クリスマスPRはバレンタインのように、うまく日本に馴染みすぎてしまった。

平凡な、単なる日常に過ぎないのに非日常的演出を意識させられる。

特別な食事、ケンタッキー、大きなチキン、ホールのケーキ、巨大なツリー。

何か特別なことを言わなくちゃいけないような気になって、どこか気取っちゃって、ちぐはぐな自分になる。

 

何やってんの。僕は僕で君は君でしょ。

イルミネーションがキラキラしてたって、プロポーズしなきゃとか、カッコつけなきゃとか、いいムード作らなきゃとか、そんな焦んなくていいから。

 

そう世間に向かっての独り言を考えながらも、寄り道してコンビニで小さなケーキを買って、いつもよりちょっといいお肉を買って、揚げるのは怖いので醤油で甘辛く焼いて、チーズものせちゃおう。

 

これが今年の僕。特別じゃないような、特別のような。曖昧な感じでちょうどいい。いつもだけどいつもじゃない。

プレゼントはサンタさんに頼んであるの。今はまだそのときじゃない。早寝するから。僕いい子だから。だからいつか持ってきてね。おやすみなさい。